つむぐ光の粒たち

栄養素から零れる声をお届け。

2025-01-01から1年間の記事一覧

ペリディニン

海洋生物が持つ色素には、陸上の植物とは異なる特徴を備えたものが数多く存在します。ペリディニンはその代表例で、渦鞭毛藻(プランクトンの一種)が光を効率よく利用するために有しているカロテノイド色素です。海の環境は光量が限られ、水深や濁りによっ…

キモトリプシン

体内で栄養を利用するためには、食べ物を細かく分解し、吸収しやすい形へ整える仕組みが欠かせません。タンパク質は生命活動の基盤となる重要な栄養素ですが、大きく複雑な構造を持つため、そのままでは体内に取り込むことができません。そこで働くのが消化…

ヘモリン

生命活動を支える物質の中には、あまり名前が知られていなくても、体の仕組みを理解するうえで重要な存在があります。ヘモリンもその一つで、特に昆虫などの無脊椎動物の体内で働く酸素運搬タンパク質として知られています。人間のヘモグロビンとは異なる構…

トコフェロール

健康維持に欠かせない栄養素には、体の内側で働き続ける地味な存在が多くあります。トコフェロールもそのひとつで、脂溶性ビタミンEとして知られています。食品に自然と含まれているため目立ちませんが、体の細胞環境を整えるうえで重要な役割を担っています…

マセキサントフィル

日々の食生活の中には、私たちが気づかないまま摂取している色素成分が多くあります。天然の色素は見た目を彩るだけでなく、体内でさまざまな働きを担うこともあります。マセキサントフィルは、海藻や一部の藻類に含まれるカロテノイドの一種で、独自の構造…

セリン

セリンは、体内で合成されるアミノ酸の一つで、たんぱく質を構成する重要な要素として多くの組織に存在しています。脳神経の働きや代謝に幅広く関わる成分として知られ、食品では大豆製品、肉類、魚類などに含まれています。必須アミノ酸ではないため体内で…

ペリジノール

ペリジノールは、植物由来のフェノール性化合物として知られ、抗酸化作用を中心に研究されてきた成分です。自然界では樹木や果実の中に微量に含まれており、ポリフェノール類の一種として理解されています。体内の酸化ストレスを抑える働きが期待されること…

グルコマンナン

グルコマンナンは、こんにゃく芋に多く含まれる水溶性食物繊維で、日本では古くから食文化の中で親しまれてきました。非常に高い保水性と粘性を持ち、腸内環境を整える成分として広く知られています。健康志向の高まりとともに、便通改善、食後血糖の上昇抑…

パープリン

パープリンは、古い文献や化学史で登場する赤紫色の色素で、主に「尿中に含まれる色素成分」として知られていました。近代では研究対象として扱われることは減りましたが、体内で生じる化合物の一つとして、生理学や代謝の理解に役立つ存在です。特に、体内…

酪酸菌

酪酸菌は、腸内環境を整える働きで近年注目されている有用菌のひとつです。ヨーグルトや発酵食品で知られる乳酸菌とは異なる種類の細菌で、腸内で「酪酸」という短鎖脂肪酸をつくり出す役割を持っています。酪酸は大腸のエネルギー源となり、腸の粘膜を守り…

ルチン

ルチンは、そばや柑橘類、玉ねぎ、アスパラガス、ハーブ類などに豊富に含まれるポリフェノールの一種で、フラボノイドに分類される成分です。ビタミンPと呼ばれることもあり、昔から血管の健康維持に役立つ成分として知られてきました。抗酸化作用をもち、体…

アセチルコリンエステラーゼ

アセチルコリンエステラーゼは、神経の働きを支える上で欠かせない酵素です。名前だけ聞くと難しく感じますが、その役割は「神経同士の会話を終わらせるスイッチ」のようなもの。脳や神経では、情報を伝えるときに化学物質を放出しますが、それが残り続ける…

フコイダン

海藻を食べたときに感じる独特のぬめり。その正体のひとつが「フコイダン」です。モズク、ワカメ、コンブなどの褐藻類に豊富に含まれ、近年は健康素材として注目される機会も増えています。粘りのある多糖類で、水に溶けるととろみをつくり、体内でもさまざ…

フィロキノン

フィロキノンは、一般に「ビタミンK₁」と呼ばれる脂溶性ビタミンで、植物の葉に多く含まれる成分です。緑黄色野菜を食べるとき、私たちは意識せずともフィロキノンを摂取しています。日常生活ではあまり目立つ存在ではありませんが、血液が自然に止まる仕組…

デキストリン

生命活動を支えるエネルギー源にはさまざまな形がありますが、その中でも「デキストリン」は、とても扱いやすく応用範囲の広い炭水化物として知られています。私たちが日常的に摂るでんぷんを部分的に分解したもので、粉末状にしやすく、水に溶けやすく、消…

トポイソメラーゼ

生命活動を支える分子レベルの仕組みには、普段意識しないほど緻密で精密な働きが隠れています。その代表格ともいえるのが「トポイソメラーゼ」という酵素です。名前だけでは難しく聞こえますが、その本質は DNA が正常に複製され、読み取られ、細胞が健全に…

ヒスタミン

日常の食生活や体調の変化を考えるとき、「ヒスタミン」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。アレルギー症状と深く関わる物質として知られていますが、その本質は体に備わった大切な生理活性アミンであり、免疫反応や消化、神経伝達など、多岐に…

アリシン

アリシンは、にんにくを切ったり潰したりしたときに特有の強い香りと刺激を生み出す成分として知られています。生の状態では存在せず、酵素の働きによって瞬時に生成されるという特徴を持ち、食材としてのにんにくの魅力と機能性を象徴する物質です。その香…

カルシフェロール

カルシフェロールは、一般に「ビタミンD」として知られる脂溶性ビタミンで、健康維持に欠かせない存在です。体内では日光を浴びることで自然に生成されるほか、食品からも摂取できます。骨の形成に役立つイメージが広く知られていますが、その働きはそれだけ…

イソロイシン

イソロイシンは、体内で合成できない「必須アミノ酸」のひとつであり、筋肉やエネルギー代謝に深く関わる重要な成分です。バリン、ロイシンと並ぶBCAA(分岐鎖アミノ酸)の一種として知られ、運動時のパフォーマンスや回復、さらには日常生活におけるエネル…

アクチン

アクチン(Actin)は、細胞の骨格を形づくる最も基本的なタンパク質のひとつで、真核生物から原核生物まで幅広く存在する“生命の普遍分子”です。筋肉の収縮を担うイメージが強いかもしれませんが、その働きは実に多彩で、細胞の形を保ち、移動を可能にし、さ…

マルチトール

マルチトール(Maltitol)は、トウモロコシや小麦などのデンプンから得られる糖アルコール(ポリオール)の一種です。化学的には「マルトース(水あめの主成分)」を水素添加して作られた物質で、砂糖に近い甘味を持ちながらカロリーが低く、虫歯になりにく…

銀(Ag)は、古代から人々に愛されてきた貴金属であり、その輝きや耐久性によって装飾品や貨幣に利用されてきました。しかし、現代では銀は「微量ミネラル」としての生理学的側面にも注目されています。必須ミネラルではないものの、抗菌作用や免疫応答の調…

ミオキサンチン

ミオキサンチン(Myoxanthin)は、カロテノイドの一種であり、特に魚類や貝類などの海洋生物に見られる黄色〜橙色の色素化合物です。その名の「ミオ(myo)」は筋肉、「キサンチン(xanthin)」は黄色を意味する語根から来ており、筋肉中に含まれる黄色色素…

アラキジン酸

アラキジン酸(Arachidic acid)は、炭素数20個の飽和脂肪酸(C20:0)で、自然界では比較的まれな長鎖脂肪酸の一種です。植物油の中では特にピーナッツ油(落花生油)に多く含まれており、その名もラテン語の「Arachis(落花生)」に由来しています。見た目…

オボムコイド

オボムコイド(Ovomucoid)は、卵白に含まれる主要な糖タンパク質の一つであり、特に「卵アレルギー」の原因物質として知られています。その性質は非常に特徴的で、熱や消化酵素に対して強い抵抗性を持ち、加熱調理後もアレルギー反応を引き起こす可能性があ…

システイン

システイン(Cysteine)は、人体にとって欠かせない含硫アミノ酸の一つです。その特徴は、他のアミノ酸にはほとんど見られない「硫黄(S)原子」を含むこと。これにより、システインはタンパク質の立体構造を安定させたり、抗酸化物質の生成に関与したりと、…

バクテリオルベリン

バクテリオルベリン(Bacterioruberin)は、主に好塩菌(ハロバクテリア)と呼ばれる微生物が産生する赤橙色のカロテノイド色素の一種です。名前の「ruberin」はラテン語で「赤」を意味し、その鮮やかな色彩は高濃度の塩環境で生きる微生物たちを特徴づける…

ラクターゼ

ラクターゼ(Lactase)は、乳糖(ラクトース)を分解する酵素であり、人間や多くの哺乳類の小腸の粘膜上皮細胞に存在しています。牛乳や母乳に含まれる乳糖は、そのままでは体に吸収されにくいため、消化の過程でラクターゼによって分解され、グルコース(ブ…

バソプレシン

バソプレシン(Vasopressin)は、脳の視床下部で生成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンの一種です。別名「抗利尿ホルモン(ADH: Antidiuretic Hormone)」とも呼ばれ、その名の通り体内の水分バランスを調節する働きを持っています。わずかな量でも体…